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> 藤田嗣治が「秋田の行事」に込めた思いとは掛け離れた、秋田駅前「フランス化」という貧困な発想 (2013.10.12)

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2013.11.12
 昨日(10月11日)の秋田魁新報の地域面(秋田市)に、「秋田駅前フランス化計画」(イベント)という記事が載っていたが、今朝の魁のコラム欄でも取り上げていたようだ。

 郷土・秋田を愛する著者としては、違和感を持つとともに、情けない気持ちになった。

 ご承知の通り、藤田嗣治の壁画「秋田の行事」は、藤田が、1931年、パリと決別し、自分の将来を何とか打開したいという思いから、マドレーヌとともに、ラテンアメリカ各地を2年間に及ぶ放浪の旅をし、日本に帰国後、秋田の平野政吉との出会いがあって、誕生した作品である。
 マドレーヌの急死後、悲嘆に暮れる藤田を激励するため、平野が提案した美術館建設構想に応え、約束した壁画でもある。

 この壁画「秋田の行事」に込めた藤田の思い、メッセージは、非ヨーロッパ的世界、日本、秋田に生きる人々の営みへの賛歌である。

 藤田は、「山水皆これ 詩の国秋田」の歌詞がある秋田県民歌(昭和5年制定)に呼応するように、「詩の国秋田に壁画時代を現出させよう」とも語っている。
 秋田の自然、祭り、伝統行事、人々の日々の暮らしを称え、パリで喝采と栄光を得た藤田が、これこそが、秋田が、日本が、世界に誇り得るものなのだというメッセージが込められたのが「秋田の行事」なのである。

 藤田は、
「日本の真の伝統の系統を保守して、古来の文化を味わい得るのは、全く裏日本の冬の国々にのみよって味われる」
「吾等の持つ伝来の文化は、決して欧米の機械文明に負けたり、劣ったりしてはおらぬものがある」(地を泳ぐ)
と語り、

 壁画についての記述でも、「壁画の時代を作れば、結局国の富、国の誇りを作り出す訳である」(現代壁画論)と語っている。

 藤田が壁画「秋田の行事」を描き、伝えたかったことは、日本古来の真の伝統文化を守っている、「秋田への誇り」、「日本への誇り」であったと言えるだろう。

 また、「私は真似事が嫌いであり まずくとも自分の画を描きたい」と語っていた藤田のメッセージも受け止めるべきだ。

 また、平野政吉が所蔵した藤田作品は、「カーニバルの後」(1932年)、「町芸人」(1932年)、「五人女」(1935年)などほとんどが、ラテンアメリカの旅の最中と、帰国後、日本で描かれた作品であり、パリ当時の作品は「眠れる女」(1931年)など極一部しかない。

 藤田は、戦後、「戦争画」を描いた画家の戦争責任をたった一人で背負うように、日本を離れ、二度と祖国日本の土を踏むことはなかった。生前、「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのです」と語り、1968年1月29日、スイスのチューリッヒで生涯を終えている。

 また、藤田に大壁画を依頼した平野政吉は、秋田に美術館を建てること、秋田の人にコレクションを見てもらうことを念願として生き、その生涯を終えた人である。郷土・秋田への愛着が誰よりも強い人であったと言える。

 若い人達のアイディアを全て否定する訳ではないが、藤田がフランス国籍を持ち、モンパルナスで活躍したから、秋田の「フランス化」だとか「モンパルナス通り」だとかいう発想は、あまりに単純で幼児的で、貧相に感じ、全く関心できない。もっと真摯に藤田の思いを学ぶべきだろう。
 秋田県人の格好ばかりを付ける悪しき性格が垣間見え、情けない気がした。

 藤田嗣治や平野政吉の思いに照らして考えれば、寧ろ、「秋田駅前 詩の国 秋田化計画」を志向すべきだろう。

 藤田と平野の思いと、二人で生み出した壁画、「秋田の行事」が描かれた時代の空気、息遣いまで感じられるのが、平野政吉美術館であった。



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藤田嗣治は、壁画「秋田の行事」が完成した当時から、美術館は、自然光による採光形式にしたいという意向を持っていた。
1963年、平野政吉の親族に渡した美術館のイメージ図にも、壁画を大空間に展示し、上方から自然光を取り入れるよう描かれている。
1966年5月、美術館建設の報告に訪れた平野政吉に、美術館の屋根は採光の形式にするよう、助言している。

(参照 … 発見された「幻の藤田美術館」の設計図と、現県立美術館への藤田の助言を示すメモと手紙
平野政吉美術館(秋田県立美術館)の採光について
開催中の企画展「藤田嗣治の祈り 平野政吉の夢」 …… 「なぜ この美術館が閉館なのか?」という疑問

(2015年9月)



新県立美術館に移された「秋田の行事」を観た方々から、

以前より展示室が狭くなった。
「秋田の行事」が、窮屈で縮んで見える。
階上の左右から見ることが出来なくなった。
照明の照り返しがきつい。
2階から見ると目線から高すぎる。3階から眺めると壁画が低すぎる。
展示室に奥行きがなく、この壁画の迫力が全く感じられない。
以前は圧倒するほどの存在感があったが、この絵の輝きが失われた。
新しい建物の現代的な感じと秋田の行事が違和感ある。
あそこへ行きさえすれば、という大きな拠り所が失われた。

などの声が上がっています。
(2014年2月)




 「秋田の行事」は8月31日に、平野政吉と藤田嗣治が一体となり建てた現県立美術館(平野政吉美術館)から移設されました。これは、世界に誇れる貴重な文化遺産を崩壊させる、非常に愚かな行為であり、一秋田県民として、強く非難致します。
(2013年8月31日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、建物を活用を検討していながら、2013年6月30日で閉館扱いとなりました。
 平野政吉と藤田嗣治が一体になり、実現させた現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、後世の人々、美術愛好家、若者達、藤田嗣治ファンのためにも残すべきです。
(2013年8月1日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)の大展示室は、「秋田の行事」のためにレオナール・フジタ(藤田嗣治)が助言したものです。
 

 ― 藤田は、「秋田の行事」を礼拝堂のような大空間で観るよう助言し、建物の上方から自然光を採り入れ、壁画に降り注ぐよう助言しました。また、壁画を床から1.8メートルの位置に上げ、両端を少しずつせり出して据え付けたのも、臨場感を狙い、藤田がこの絵に最も良い展示方法を指示したものです。藤田の理念が強く反映されている美術館、展示室は後世に伝えていくべきです。
(2013年5月15日)


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現秋田県立美術館(平野政吉美術館)の丸い採光窓

提言:新秋田県立美術館は、収蔵作品を持たない企画展に特化した美術館にすべきである。
現秋田県立美術館の展示室が優れているこれだけの理由


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  • 2013.11.12(23:50)|未分類||TOP↑
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