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2013.05.23
 秋田県立美術館・平野政吉美術館で、現在、企画展「藤田嗣治の祈り 平野政吉の夢」が開催されている。
 先頃発見されたと言う、「秋田の行事」制作の翌年、1938年(昭和13年)に建設に取り掛ったものの、戦時の鉄材使用制限などにより、断念されたと言う美術館の設計図(複写、3点)などが展示されていたが、この企画展のメインは、美術館の創設者、平野政吉の存在そのものであるようだ。
 なかでも、1966年(昭和41年)5月に、平野政吉が、美術館建設の報告を兼ね、パリ郊外ヴィリエ・ル・バークルの藤田を訪ねた際の写真、1973年(昭和48年)当時の美術館内での平野政吉の姿を撮影した写真などを見て、胸に迫るものがあった。
 藤田を訪ねた写真では、藤田との18年ぶりの再会を果たし固い握手を交わした写真、肩を組み合い笑顔で喜ぶ写真があった。出版された書籍を読むと、この再会は不首尾に終わった。美術館の名称問題で二人は絶交状態になったと記述されているが、二人の間に強く、温かい友情の絆が存在していたことをはっきりと示している。
 1973年(昭和48年)頃の平野政吉の館内での写真を見て、その頃、初めて美術館を訪れ、その後何度か出かけたが、その際、平野政吉に声を掛けていただいたことなどを思い出し、胸が熱くなった。
 1963年(昭和38年)に、平野家の親族が藤田と会った際の藤田の「メモ」もあったが、藤田が「秋田の行事」を礼拝堂のような大空間に展示し、建物の上方から自然光を採り入れるよう、図示していた。現県立美術館(平野政吉美術館)の大展示室が、藤田が望んだ大空間であることが明らかになっている。
 また、1966年(昭和41年)2月8日に、平野誠さん(平野政吉の長男、元平野政吉美術館館長)が藤田を訪ねた際の模様を記した手紙には、藤田に美術館の平面、側面、断面の設計図を持参し、千秋公園の堀の位置、庭の配置のことなども伝え、藤田がとても喜んだことなどが書かれていた。また「秋田の行事」の展示について、「壁画は真直ぐにせず一寸(ちょっと)曲げて、観る人が端の方が余り遠くならぬ様にしたら良いだろう」と藤田に言われたとあった。
 秋田県立美術館・平野政吉美術館がいかに、世界的画家・レオナール・フジタ(藤田嗣治)との関わりが深いかを改めて証明しているものと言える。
 この企画展を見ると、開催した平野政吉美術財団も、平野政吉が建てたこの美術館を閉館するということに対して、強いわだかまりを持っていることを暗に示しているように思えた。
 財団は、赤字分の補助、新県立美術館の管理者に選定されるなどのため、県に逆らえぬ立場なのだろう。
 秋田の人々のために、コレクションと美術館を残した平野政吉の尊い精神を受け継ぎ、藤田嗣治の理念が込められ、平野政吉が藤田の助言を守り完成された、秋田県立美術館・平野政吉美術館の保存と継承に努めるのが財団の在るべき姿ではないのだろうか。

 この企画展「藤田嗣治の祈り 平野政吉の夢」を見た人々は一様に、「なぜ、この美術館が閉館なのか?」という思いに駆られるだろう。

 世界的な画家、レオナール・フジタ(藤田嗣治)との関わりが深いことが、よりはっきりと分かった現秋田県立美術館・平野政吉美術館は、次代の人々のために伝えて行くべきである。




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藤田嗣治は、壁画「秋田の行事」が完成した当時から、美術館は、自然光による採光形式にしたいという意向を持っていた。
1963年、平野政吉の親族に渡した美術館のイメージ図にも、壁画を大空間に展示し、上方から自然光を取り入れるよう描かれている。
1966年5月、美術館建設の報告に訪れた平野政吉に、美術館の屋根は採光の形式にするよう、助言している。

(参照 … 発見された「幻の藤田美術館」の設計図と、現県立美術館への藤田の助言を示すメモと手紙
平野政吉美術館(秋田県立美術館)の採光について
開催中の企画展「藤田嗣治の祈り 平野政吉の夢」 …… 「なぜ この美術館が閉館なのか?」という疑問

(2015年9月)



新県立美術館に移された「秋田の行事」を観た方々から、

以前より展示室が狭くなった。
「秋田の行事」が、窮屈で縮んで見える。
階上の左右から見ることが出来なくなった。
照明の照り返しがきつい。
2階から見ると目線から高すぎる。3階から眺めると壁画が低すぎる。
展示室に奥行きがなく、この壁画の迫力が全く感じられない。
以前は圧倒するほどの存在感があったが、この絵の輝きが失われた。
新しい建物の現代的な感じと秋田の行事が違和感ある。
あそこへ行きさえすれば、という大きな拠り所が失われた。

などの声が上がっています。
(2014年2月)




 「秋田の行事」は8月31日に、平野政吉と藤田嗣治が一体となり建てた現県立美術館(平野政吉美術館)から移設されました。これは、世界に誇れる貴重な文化遺産を崩壊させる、非常に愚かな行為であり、一秋田県民として、強く非難致します。
(2013年8月31日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、建物を活用を検討していながら、2013年6月30日で閉館扱いとなりました。
 平野政吉と藤田嗣治が一体になり、実現させた現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、後世の人々、美術愛好家、若者達、藤田嗣治ファンのためにも残すべきです。
(2013年8月1日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)の大展示室は、「秋田の行事」のためにレオナール・フジタ(藤田嗣治)が助言したものです。
 

 ― 藤田は、「秋田の行事」を礼拝堂のような大空間で観るよう助言し、建物の上方から自然光を採り入れ、壁画に降り注ぐよう助言しました。また、壁画を床から1.8メートルの位置に上げ、両端を少しずつせり出して据え付けたのも、臨場感を狙い、藤田がこの絵に最も良い展示方法を指示したものです。藤田の理念が強く反映されている美術館、展示室は後世に伝えていくべきです。
(2013年5月15日)


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