Akita Column 評論
> 平野政吉美術館の天井に自然光を遮る仕切りが

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2011.12.09
 先日、平野政吉美術館(秋田県立美術館)を訪れ、1年数ヵ月ぶりに藤田嗣治の大壁画「秋田の行事」と対面した。その時、なぜか、以前のように胸に迫って来ない気がした。近づいて観てみると、以前と変わらぬ、藤田が描いた躍動的な、色彩豊かな絵が、眼前に飛び込んでくる。なぜだか分からなかったが、しばらくしてその理由が分かった。大展示室の天井を見上げると、美術館の屋根の丸窓から入る自然光を遮る仕切りが設置されているではないか。この仕切りがいつからのものかは知らない。先日行われた「科学調査」のためかも知れない。丸窓からの自然光は、4階ほどの高さから、大壁画「秋田の行事」に柔らかく降り注ぎ、この絵の壁画としての魅力を引き立て、観る者を温かい、心豊かな気持ちにさせてくれていた。P1010030_01 平野美術館丸窓(晩秋) 800x600.jpgそして、この丸窓からの採光は、藤田嗣治(レオナール・フジタ)のこの美術館へのアドバイスであり、願いであった。制作者、藤田嗣治の助言は忠実に守られるべきである。「秋田の行事」の依頼者で、美術館の創設者である平野政吉がその助言を忠実に守ったように。先日観た「秋田の行事」の照明は、絵の上端に蛍光灯を20メートル程設置した味気のないものであった。採光の仕方でこれほども絵の見え方、感じ方が違うことを改めて知った。「秋田の行事」は、巨大な油彩であると同時に壁画である。藤田が助言した丸窓からの自然光は、壁画の魅力を伝えるために重要なことである。


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藤田嗣治は、壁画「秋田の行事」が完成した当時から、美術館は、自然光による採光形式にしたいという意向を持っていた。
1963年、平野政吉の親族に渡した美術館のイメージ図にも、壁画を大空間に展示し、上方から自然光を取り入れるよう描かれている。
1966年5月、美術館建設の報告に訪れた平野政吉に、美術館の屋根は採光の形式にするよう、助言している。

(参照 … 発見された「幻の藤田美術館」の設計図と、現県立美術館への藤田の助言を示すメモと手紙
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(2015年9月)



新県立美術館に移された「秋田の行事」を観た方々から、

以前より展示室が狭くなった。
「秋田の行事」が、窮屈で縮んで見える。
階上の左右から見ることが出来なくなった。
照明の照り返しがきつい。
2階から見ると目線から高すぎる。3階から眺めると壁画が低すぎる。
展示室に奥行きがなく、この壁画の迫力が全く感じられない。
以前は圧倒するほどの存在感があったが、この絵の輝きが失われた。
新しい建物の現代的な感じと秋田の行事が違和感ある。
あそこへ行きさえすれば、という大きな拠り所が失われた。

などの声が上がっています。
(2014年2月)




 「秋田の行事」は8月31日に、平野政吉と藤田嗣治が一体となり建てた現県立美術館(平野政吉美術館)から移設されました。これは、世界に誇れる貴重な文化遺産を崩壊させる、非常に愚かな行為であり、一秋田県民として、強く非難致します。
(2013年8月31日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、建物を活用を検討していながら、2013年6月30日で閉館扱いとなりました。
 平野政吉と藤田嗣治が一体になり、実現させた現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、後世の人々、美術愛好家、若者達、藤田嗣治ファンのためにも残すべきです。
(2013年8月1日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)の大展示室は、「秋田の行事」のためにレオナール・フジタ(藤田嗣治)が助言したものです。
 

 ― 藤田は、「秋田の行事」を礼拝堂のような大空間で観るよう助言し、建物の上方から自然光を採り入れ、壁画に降り注ぐよう助言しました。また、壁画を床から1.8メートルの位置に上げ、両端を少しずつせり出して据え付けたのも、臨場感を狙い、藤田がこの絵に最も良い展示方法を指示したものです。藤田の理念が強く反映されている美術館、展示室は後世に伝えていくべきです。
(2013年5月15日)


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  • (追記)
     2012年2月29日、平野政吉美術館を訪れた際、天井からの採光がどのようになっているかを確認したところ、トップライトを遮る仕切りが完全に設置され、側面には透過性のある素材を設置しているようでした。壁画側上方の側面に丸い影が、8個透けて映っている感じになっていました。辛うじて丸窓から自然光を採り入れる形式を保っているのかも知れません。



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    2011.12.09(01:45)|評論||TOP↑
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