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2015.11.14
 先日、秋田の地元紙に、有名脚本家U氏による、藤田嗣治と平野政吉を題材にしたミュージカルが公演されたという記事があった。

 旧来の秋田県立美術館 (平野政吉美術館) で、40数年間、展示、公開されていた藤田嗣治の大壁画 「秋田の行事」 。その 「秋田の行事」 の移転を、出し にするように進められた、愚かなる秋田市中通一丁目地区の再開発事業と新県立美術館の建設。

 当初、老朽化により取り壊すと言っていたはずの、従来の秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、一転、県が秋田市に譲渡し、再利用することになったと報道されている。 これでは、多額の公費を費やし、新美術館を建てた理由は、どこに行ったのか、美術館新築の目的が疑われる。

 この再開発を進めた人達にとって、今回のミュージカルは、この地区のにぎわい作りにしたいという思惑があり、企画されたのだろう。

 ところで、このミュージカルは、有名女性脚本家、U氏が脚本を書いているようだが、この人は、かつて、藤田嗣治の壁画 「秋田の行事」 や旧・秋田県立美術館 (平野政吉美術館) について、連載されている 秋田の地元紙のコラム で、次のようなことを語っている。

 平野政吉美術館について、P1010594 平野政吉美術館(2011年10月) 800x600-新

 「秋田市千秋公園にある平野政吉美術館は、私の最も好きな美術館の一つである。何しろ、とてつもない絵があるのだ。それも巨匠藤田嗣治の絵だ」 (2007年10月19日、秋田魁新報夕刊)

 「平野政吉美術館の移転もなぜだか急転直下で決まったが、これとて後に 『試行錯誤だった』 では取り返しがつかない。あの美しい建物は戻らないのだ」 (2008年5月16日、秋田魁新報夕刊)

 などと語り、当初は、移転を疑問視していた。

 また、大壁画「秋田の行事」誕生の経緯については、
 藤田が歓迎の席で 「… 『私は今世紀最大の、世界一の画家です』 と自己紹介した。それを聞いた政吉が、『証明していただきましょう。世界一長い絵を描いて頂こうじゃありませんか。できないとあらば、お命頂きます』 と畳に火箸を刺したという伝説がある」 (2007年10月19日、秋田魁新報夕刊)
 と表現している。

 最も好きな美術館と語った「平野政吉美術館」については、その後、2010年2月、県議会で美術館新築について議論された頃、U氏は、新美術館のデザインに、財団法人平野政吉美術館に約束した三角屋根 (注、U氏の表現) が取り入れられてなかったことや、佐竹知事が、現美術館 (当時) の建物の文化的価値について 「私の文化的価値基準は100年以上の建物。それより短いものは好みの問題」 と述べたことに、暴論であり、不遜であるなどと語ったものの、最終的に現美術館 (当時) を、

 移転にせよ残すにせよ、街づくりや金銭をはじめ、多くの現実問題のプラスマイナスがある (2010年2月21日、秋田魁新報)
とし、再開発側寄りの文を記述している。 (その後県議会で明らかにされた、再開発組合のゼネコンからの巨額借入金問題を事前に認識していたのだろうか?)

 また、U氏は、財団法人平野政吉美術館 (現、公益財団法人平野政吉美術財団) の評議員でもあった (現在は不明) が、秋田県立美術館 (平野政吉美術館) の文化的価値を強く訴えたり、移転すべきでないと主張することはなかったのである。


 次に、平野政吉が藤田嗣治とのやり取りで、畳に火箸を刺し迫ったという説については、既に、尾ひれが付けられて伝わったものであると、平野政吉の親族が語っており (注) 、平野政吉自身も実際は、「田舎では、殿様気取りだった若い私も、藤田の迫力の前に圧倒された、というのが本当のところだ」 (1983年1月6日、朝日新聞 平野政吉 《聞き書き わがレオナルド藤田》 より) と、晩年語っている。

(注) 「秋田の行事」が生まれた経緯について、「一説では、二人の激しさに宴席には不穏な空気さえ漂ったとされるが、現平野美術館長 (注、当時) を務める政吉の長男誠さん (八四) は 『そんなことはなかったはず。後から尾ひれが付いたのでしょう』 と政吉から聞いた話に触れた」 (2008年5月22日、秋田魁新報夕刊) と平野政吉の親族によって語られている。

 さらに、藤田嗣治作品について、 世界中の美術関係者が、 『藤田の代表作のほとんど、百十点が秋田にある』 と知っている(2007年10月19日、秋田魁新報夕刊) と語っているが、これも誇張であり、実際は、 藤田嗣治の1930年代の代表作の多くが平野政吉美術館にあるが正しい。

 資料等を調べれば分かることを、U氏は誇張した噂話を取り上げ、表現し、発表しているのである。

 藤田嗣治や平野政吉、「秋田の行事」について、事実と異なる、誤った認識をし、誇張した表現をしていたU氏が、今回のミュージカルで、どのような話を作り上げ、公演しているか、著者は全く興味がないが、二人の交友の歴史や作品について、今後知りたいと思っている人達や次世代の若者らには、正しく継承し、理解して頂きたいものだと願っている。
 


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藤田嗣治は、壁画「秋田の行事」が完成した当時から、美術館は、自然光による採光形式にしたいという意向を持っていた。
1963年、平野政吉の親族に渡した美術館のイメージ図にも、壁画を大空間に展示し、上方から自然光を取り入れるよう描かれている。
1966年5月、美術館建設の報告に訪れた平野政吉に、美術館の屋根は採光の形式にするよう、助言している。

(参照 … 発見された「幻の藤田美術館」の設計図と、現県立美術館への藤田の助言を示すメモと手紙
平野政吉美術館(秋田県立美術館)の採光について
開催中の企画展「藤田嗣治の祈り 平野政吉の夢」 …… 「なぜ この美術館が閉館なのか?」という疑問

(2015年9月)



新県立美術館に移された「秋田の行事」を観た方々から、

以前より展示室が狭くなった。
「秋田の行事」が、窮屈で縮んで見える。
階上の左右から見ることが出来なくなった。
照明の照り返しがきつい。
2階から見ると目線から高すぎる。3階から眺めると壁画が低すぎる。
展示室に奥行きがなく、この壁画の迫力が全く感じられない。
以前は圧倒するほどの存在感があったが、この絵の輝きが失われた。
新しい建物の現代的な感じと秋田の行事が違和感ある。
あそこへ行きさえすれば、という大きな拠り所が失われた。

などの声が上がっています。
(2014年2月)




 「秋田の行事」は8月31日に、平野政吉と藤田嗣治が一体となり建てた現県立美術館(平野政吉美術館)から移設されました。これは、世界に誇れる貴重な文化遺産を崩壊させる、非常に愚かな行為であり、一秋田県民として、強く非難致します。
(2013年8月31日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、建物を活用を検討していながら、2013年6月30日で閉館扱いとなりました。
 平野政吉と藤田嗣治が一体になり、実現させた現秋田県立美術館(平野政吉美術館)は、後世の人々、美術愛好家、若者達、藤田嗣治ファンのためにも残すべきです。
(2013年8月1日)



 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)の大展示室は、「秋田の行事」のためにレオナール・フジタ(藤田嗣治)が助言したものです。
 

 ― 藤田は、「秋田の行事」を礼拝堂のような大空間で観るよう助言し、建物の上方から自然光を採り入れ、壁画に降り注ぐよう助言しました。また、壁画を床から1.8メートルの位置に上げ、両端を少しずつせり出して据え付けたのも、臨場感を狙い、藤田がこの絵に最も良い展示方法を指示したものです。藤田の理念が強く反映されている美術館、展示室は後世に伝えていくべきです。
(2013年5月15日)


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提言:新秋田県立美術館は、収蔵作品を持たない企画展に特化した美術館にすべきである。
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